色々な読み方ができる本
![]() | ジャスミン・トレード (ハヤカワ・ミステリ文庫) |
ストーリー自体はそれなりに面白い。誰を信じてよいのか読み手も一緒に悩まされる。しかし,失恋を引きずり,また弟の事故死のトラウマを抱える主人公を含め登場人物の心理描写や,中国人を始めとするアジア系移民の文化を理解しようとする態度など,がんばっているのだが多少消化不良気味で深みに欠ける感もあった。
この小説はいろいろな面から眺めることができる。まず若いキャリアウーマンが主人公という点で,パトリシア・コーンウェルの検視官ケイ・スカーペッタシリーズと好対照を成していると思った。ケイは登場時にすでに中年に差し掛かって責任ある地位にあり,保護者的視点を持つが,イブはジャーナリストとして多少の経験を積んだ程度の段階であり,その視点は自分のキャリアと恋愛に向いている。コーンウェルは非常に平易な文体と語彙(医学用語を除けば)でストーリーを展開していくが,ハミルトンは難しい語彙をちりばめ気負いを見せる。イブがこれから成熟していく人であることを表現する意図なのだろうか?
またイブの生活にはbento box,barley tea(麦茶)を始め日本やアジアの文化が頻繁に登場する。作中で解説されるアジア人移民の習慣や社会心理とも併せて読むと,リベラルな若い白人の異文化に対する態度や理解の度合いを窺い知ることのできる作品でもあると思う。次作でのイブの成長への期待を込めて星を4つとした。
引用元:色々な読み方ができる本
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ストーリー自体はそれなりに面白い。誰を信じてよいのか読み手も一緒に悩まされる。しかし,失恋を引きずり,また弟の事故死のトラウマを抱える主人公を含め登場人物の心理描写や,中国人を始めとするアジア系移民の文化を理解しようとする態度など,がんばっているのだが多少消化不良気味で深みに欠ける感もあった。
この小説はいろいろな面から眺めることができる。まず若いキャリアウーマンが主人公という点で,パトリシア・コーンウェルの検視官ケイ・スカーペッタシリーズと好対照を成していると思った。ケイは登場時にすでに中年に差し掛かって責任ある地位にあり,保護者的視点を持つが,イブはジャーナリストとして多少の経験を積んだ程度の段階であり,その視点は自分のキャリアと恋愛に向いている。コーンウェルは非常に平易な文体と語彙(医学用語を除けば)でストーリーを展開していくが,ハミルトンは難しい語彙をちりばめ気負いを見せる。イブがこれから成熟していく人であることを表現する意図なのだろうか?
またイブの生活にはbento box,barley tea(麦茶)を始め日本やアジアの文化が頻繁に登場する。作中で解説されるアジア人移民の習慣や社会心理とも併せて読むと,リベラルな若い白人の異文化に対する態度や理解の度合いを窺い知ることのできる作品でもあると思う。次作でのイブの成長への期待を込めて星を4つとした。
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